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役員と同族会社間での建物賃借の留意点

同族会社では、会社と役員との間で建物の貸し借りをすることが多くあるようです。
そこで、税務上留意すべき点を以下に整理してみます。

■会社が役員から事業用建物を借りているケ−ス

T 原則として、その建物を第三者から借りた場合に支払う通常の家賃を基に判断
することになります。

1.会社側の処理

通常の家賃であれば、そのまま損金になります。

(1) 極端に低額の場合
通常の家賃との差額が、その役員から会社に対する贈与と考えられますが、税務上
は、次のように取り扱われるため、結果として損金と益金が相殺され、税務上問題はありません。支払家賃×××/受贈益×××
(2) 極端に高額の場合
通常の家賃に比べて高い場合には、高い部分はその役員に対する報酬として取り扱われ、過大役員報酬とならないかの判定と、源泉徴収が必要になります。

2.役員側の処理

役員が会社に建物を貸し、家賃を受け取った場合には、所得税の計算上、不動産所得となります。そして、収入金額から固定資産税などの必要経費を控除した金額が、役員報酬などの給与所得と合算されて、総合課税として所得税・住民税が計算されることになります。

(1) 家賃が極端に低い場合
個人は、実際に受け取った収入で処理するので、その低い家賃が不動産所得の収入金額となります。
(2) 家賃が極端に高い場合
通常の家賃を超える部分については、不動産所得ではなく、会社からの報酬として、給与所得の収入金額となります。


U 会社が役員に住宅を貸すケ−ス
会社がその所有する建物を会社の役員に住宅として貸しているケ−スはよくあり ます。多くの場合、通常の家賃と比べるとかなり低額になっています。税務上、 細かな基準が設けられていますが、知らない人が多いようですので、一度点検 してみて下さい。

1.適正な家賃の目安

税務では、家屋の床面積等から次の三つに区分して適正な家賃の目安を示しています。

(1) 通常の社宅
通常の社宅である場合には、次の算式で計算した金額を、役員から徴収すれば問題は生じません。なお、通常の社宅とは床面積が132u(木造家屋以外の場合には、99u)を超え240u以下のものをいいます。

(2) 小規模住宅の場合
床面積が132u(木造家屋以外の場合には、99u)以下の場合には、次の算式により計算します。

この算式で計算した金額は、本来一般の従業員が社宅を借りている場合の家賃の計算に適用されるものですが、役員社宅であっても、一定規模以下であるときは同様に適用が認められているものです。なお、(1)及び(2)については、あくまで会社が自分で所有している家屋を社宅として役員に貸した場合の取り扱いです。
もし、会社が他から借り受けて、さらに役員に転貸しするような場合には、会社が支払う賃料の50%相当額と、先ほどの算式で計算した金額のいずれか多い方の金額が、会社が役員から徴収すべき家賃となります。

(3) 豪華な役員社宅の場合
役員が社宅として借りている家屋が(ア)その床面積が240uを超える場合、(イ)240u以下であっても、プ−ルがあったり、役員個人の趣味を著しく反映した設備を有するような場合については、豪華な役員社宅として「その社宅が一般の賃貸住宅であるとした場合に支払うべき金額」を支払う必要があります。

2.低額な家賃の取扱い

役員が適正な家賃を支払っていれば税金の問題は生じませんが低額すぎたり、支払っていない場合には次のように取り扱われます。

(1)会社の税務上の取扱い
会社としては、通常受け取るべき家賃を受け取っていないということになりますので、経済的合理性を追求とする会社としては、受け取るべき家賃を役員報酬として支給したと考えます。
同額で、損益に影響はありませんが、過大役員報酬の判定と役員報酬の源泉徴収の問題があります。

(2) 役員の税務上の取扱い
適正な家賃に比べて低い家賃を支払っている場合には、その差額が役員報酬として給与所得の収入金額に加算されることになります。よって、その金額を含めたところで、所得税や住民税が計算されることになります。

 


経営者や管理職にとっての「頼む・断る」場面別のケース事例を追加しました。