税務情報
相続税の画期的な改正についてのお知らせ
平成15年の税法改正の中で相続、贈与について『相続時精算課税制度』ができました。この制度は、財産のある老年者から若年者への早期の財産移転の促進をはかることを目的としております。
主 な 改 正 点
(1) 贈与する人 65歳以上の父又は母(住宅取得資金贈与は65歳未満でもよい)
(2) 贈与を受ける人 20歳以上の子(養子、代襲相続人も含む)
(3) 2500万円(土地、建物、現金等)までの財産については、贈与税は贈与時には課税されずに贈与できることになりました。(住宅取得資金は3500万円まで)但し、将来の相続時に相続財産として合算され、相続税の対象になります。
この制度は、税金が非課税になるのではなく、税金の繰延べということです。
(4) 贈与財産の種類、贈与金額、贈与回数に制限はなく、2500万円(住宅取得資金3500万円)まで1回でもよいし、2回、3回以上に分割して贈与してもよい。
(5) 2500万円(住宅取得資金3500万円)を超えた金額は20%の贈与税がかかります。
(6) この制度を1回でも利用したときは、子は永久にこの制度の撤回はできず、取消しはできません。
(7) 同一人の親から贈与を受ける人は、この制度と歴年課税(110万円の控除)と併用することはできません。
(8) 歴年課税と比較すると
歴年課税110万×23年間=2530万・・・・・将来相続財産に加算されない
(3年以内は課税)
精算課税2500万円の贈与額・・・・・・・・・・・・全額相続財産に加算される
(9) 父から2500万円
母から2500万円
住宅資金なら
父から3500万円
母から3500万円
(10) 父からこの制度により2500万円
母から歴年課税 110万円
この制度のメリット・デメリットについて
一般的に通常の常識として考えると、今財産をもらって税金がかからなくても将来親が死んだときに、同じ金額が課税されるとすれば、結果的には同じではないか、何のメリットもデメリットもないと考える人もいると思います。
それでも諺に『明日の100円より今日の50円』『聞いた百文より見た一文』と云われております。
そこで、この制度について私の考えたことを、次にお知らせしたいと思います。皆様方でこれは「メリット」だ、いや「デメリット」だと検討して実行したい方は、当事務所に連絡して下さい。私がその点についてのアドバイスをいたします。
1. この制度はインフレ時代には有利です。将来値上がりするものは贈与時に2500万円まで、或は超過したとしても、超過額の20%という低い税率の贈与税で贈与できます。将来2500万円が3000万円、4000万円に値上がりしても相続時の評価は2500万円です。
2. 逆にデフレ時代には不利だと思います。今の評価が将来値下がりしたら、余分な税金を支払うことになります。土地はこれからどんどん下がると思う人は利用しないことです。逆に今は下がっているが5年先10年先には上がると思う人は利用したほうがよいでしょう。又、有価証券や株式についても同様で値上がりすると思えば利用し、値下がりすると思うなら利用しないことです。
3. 親が長生きするか、短命か、長生きすれば10年20年先のことを考えてこの贈与対策を検討して下さい。20年間は死なないと思ったら、歴年課税の毎年110万円を贈与した方が有利です。又、短命とするとあまりメリットはありません。
4. 子が住宅ローンで毎月の返済に四苦八苦しているケースでは、親はこの制度を利用して子に2500万円を贈与するべきだと思います。子の生活がゆとりのあることになり、子に感謝されると思います。今までは親が子のそんな生活をみて子に贈与したかったのですが、贈与財産が2500万円だと約1000万円も贈与税がかかるので、そんな多額な税金を支払ってまで贈与をしなかったことと思います。
5. 現在、親が賃貸アパート、賃貸マンション等、貸家収入が多額にあるとすると、今後その家賃収入が累積的に増加すると思います。或は借入金を数億円もして、貸付物件からの収入で毎月借入返済をしていれば、現金預金はないが借入金の残高が減少した額だけ財産が蓄積されることになります。このような貸付物件を子に贈与すれば、将来親の死亡するまでの蓄積分は子に移転して相続財産が減少することになります。
6. 2500万円は現金贈与よりも、現物の土地建物の贈与がより効果的です。土地は時価の80%位、建物は建築費の60%くらいで贈与時の評価をされます。
現金2500万円を土地に評価すると約3125万円(2500万円)になります。
を建物に評価すると約4160万円(2500万円)になります。
7. 親の財産が基礎控除以下なら、将来の親の死亡時の相続税の心配はなく、この制度を利用して子に贈与できます。
(今まで贈与税が高くて贈与できなかった人も贈与できることになる)
8. 親の財産が相続税の基礎控除を超えるときは、(死亡者100人のうち約5人が基礎控除を超えて相続税の納税義務者)将来の相続税を予想して、いろいろな方法を総合的に検討する必要があります。
9. 遺留分の問題が発生することがある。
親が生前に好きな子のみに贈与すると、他の子の遺留分を侵害することがある。特に生前中に好きな子にのみ秘密に贈与すると、親が死んだ後で相続争いがおきることと思います。
10. 競輪、競馬、バクチの好きな子に生前贈与すると、いざ相続時には手持金がなくなり相続税を支払うことができません。このケースは他の法定相続人が相続税の連帯納付義務が発生します。
11.親は子よりも先に死ぬとは限らない。親より子が先に死んだらどうなる。
このケースはかなり複雑となる。子の全財産(親より贈与を受けたものを含む)を孫と配偶者の相続財産が基礎控除を超えれば、孫と、子の配偶者が税金を支払う。次に親(孫からみると祖父)が死んだときには、孫は代襲相続人となり又相続税を支払う。このときは、祖父の財産と親が生前時の贈与を受けた親の贈与財産も、合算して相続財産となるので、ダブル課税になるわけです。
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